恋愛ジュース

未知の味、あるいはもう一度。

この作品は言葉で語れない恋愛を味覚で表現するプロジェクトです。

友人に「恋愛をしたことがないし、する気もないのはおかしい?」と相談されたことから、この 作品は始まりました。
世の中に恋の物語が溢れる今日、その恋愛とは何なのか?と問われて、私はうまく説明できませんでした。

恋愛をするのが当たり前なんて思わないけれど、曖昧に賛美されている恋愛を知ることで少しでも彼女に答えられるのではないかと思いました。
いくつもの感情が綯交じる恋愛は複雑で、どれほど言葉を重ねたとて深部まで語り尽くせないでしょう。
経験を重ねるごとに変化する恋愛そのものを知るには、言葉を手にする前の感覚に頼る必要があると思いました。

恋愛ジュースのコンセプトは「言語化できない恋愛を味覚から知る」です。
言葉を持たない赤ちゃんが未知のものに触れるとき、それを口に含んで確かめます。
それと同様に、人間の本能に直結する味覚で恋愛を確かめようとしました。

そこで、恋愛と聞いて思い浮かぶ食べ物のアンケートをとり、それを元にジュースを作りました。 ジュースは年齢ごとに5種あります。アンケートは10代からover50まで幅広い年代の方々にご協 力をいただき、それぞれ全く違った味のジュースが出来上がりました。
出来上がった恋愛ジュースは2018年の藝大アーツイン丸の内にて販売しました。

未知の味、あるいはかつての味をもう一度。

時とともに移ろう恋愛を、自分の感覚に寄り添って確かめてほしいと思います。